2008年12月04日

非正規雇用2(非正規雇用と社会保険)

先日は、非正規雇用について簡単にふれましたが、今日は、非正規雇用と社会保険の関係について考えてみることにします。

雇用に関して、「社会保険」という場合、主に健康保険と厚生年金保険のことを指します。

健康保険と厚生年金保険は、加入等の手続きを一体のものとしておこないますので、ここでは、健康保険を例に挙げてみることにします。

健康保険とは、公的医療保険の1つで、みなさんもなじみ深いと思います。
病院にかかるときに出すのが、健康保険証です。
この保険証を出すことで、一定のお金を払えば、診察・治療を受けたり、薬をもらったりすることができます。


健康保険には、全国健康保険協会が運営する健康保険(協会健保=旧・政府管掌健保)と、一定の大企業等により組織された健康保険組合が運営する、組合管掌健康保険(組合健保)がありますが、多くの中小企業の場合は、協会健保に加入することになります


一方、自営業者や失業中の人など、会社勤めをしていない人やその家族は、市町村がおこなっている、国民健康保険に加入することになります。


ただ、同じ会社勤めでも、非正規雇用になると事情が変わってくるようです。

社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入対象者は、以下の項目に該当する人以外です。

1.日々雇用される者
2.臨時に2ヶ月以内の期間を定めて使用される者
3.事業所の所在地の一定しない事業に使用される者
4.季節的業務に4ヶ月以内の期間を定めて使用される者
5.臨時的事業の事業所に6ヶ月の期間を定めて使用される者
6.国民健康保険組合の事業所に使用される者(厚生年金保険のみ加入)
7.保険者または共済組合等の承認を受けたもの 8.パートタイム・アルバイト等であって、労働時間・労働日数のいずれかが一般社員の4分の3未満である者

したがって、非正規雇用の従業員といえども、条件を満たせば、本来は、加入するはずです。

しかし、現実は、そうなっていない、つまり、加入しない場合も、少なからずあるようです。

加入できない従業員は、市町村の国民健康保険と、国民年金(第1号被保険者)に加入します。

残念ながら、私自身も、こうした実例を目の当たりにしたことが多々あります。

健康保険や厚生年金保険には、事業主も保険料を支払う必要があります。したがって、現在の厳しい経済状況からすると、以上のように、非正規雇用の従業員が社会保険に加入できない事例は増えていくようにも考えられます。
しかし、これでは、安心して働ける環境とはいえませんので、国として、非正規雇用の社会保険加入を整備する取り組みが必要かもしれません。

実は、非正規雇用に関していうと、社会保険にとどまらず、労働保険の未加入という問題も存在します。

社会保険(健康保険・厚生年金保険)に関して言えば、代わりとなる制度が、国民健康保険、国民年金(第1号被保険者)というものがありますので、かろうじて、「救い」がありますが、労働保険については、代わりとなる制度が他に存在しませんので、事態は深刻です…。    (続く)



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